【就活生・若手デザイナー必見】グラフィック・Webデザイン業界を徹底解剖!自分に合う会社を見つけるための完全ガイド

「デザイナーとして働きたい。でも、デザイン会社ってたくさんあって、どこが自分に合うのか分からない…」
グラフィックデザインやWebデザインを学び、希望に胸を膨らませる一方で、こうした悩みを抱えている学生や若手デザイナーの方は多いのではないでしょうか。
華やかな広告を手がけたかったのに、入社してみたらWebバナーの修正作業ばかり…
一つのサービスをじっくり育てたいと思っていたのに、次から次へと新規案件ばかりで落ち着かない…
企業と自分の相性を見極められないまま就職活動を進めてしまうと、このような「キャリアのミスマッチ」が起こりかねません。デザイナーと一括りにされがちですが、所属する企業の業種や事業内容によって、その働き方、求められるスキル、そしてキャリアパスは大きく異なります。
この記事では、複雑に見えるデザイン業界を「4つの業種」と「6つの業務内容」という切り口で分かりやすく徹底解剖します。それぞれの違いを深く理解し、あなた自身が本当に輝ける場所を見つけるための「企業選びの軸」を手に入れましょう。
1:まずは知っておこう!デザイン業界の主な4つの業種

企業のビジネスモデル(どうやって利益を上げているか)を理解することは、デザイナーの役割を知る上で非常に重要です。まずは、デザイン業界を代表する4つの業種、「広告代理店」「デザイン制作会社」「事業会社(インハウス)」「デザイン事務所」の特徴を見ていきましょう。
1-1. 広告代理店:課題解決の司令塔

一言でいうとどんなところ?
クライアントが抱えるマーケティング課題を、コミュニケーションの力で解決する戦略家集団です。
ビジネスモデルと役割は?
広告代理店のクライアントは、商品やサービスを世の中に広めたい一般企業です。「新商品の認知度を上げたい」「ブランドイメージを向上させたい」といった課題に対し、市場調査や分析を行い、最適なコミュニケーション戦略を立案します。そして、テレビCM、Web広告、SNSキャンペーン、イベントなど、様々なメディアを組み合わせた広告・プロモーション施策を企画・実行します。
デザイナーの役割と求められるスキル
広告代理店のデザイナーは、「アートディレクター」という肩書で働くことが多く、必ずしも自ら手を動かしてデザインを作成するわけではありません。彼らの主な仕事は、広告全体のクリエイティブコンセプトを考え、ビジュアルの方向性を決定し、外部のデザイナー、フォトグラファー、イラストレーターといった専門家たちに指示を出してクオリティを管理する「ディレクション」です。
そのため、デザインスキルはもちろんのこと、クライアントの課題を正確に理解する課題発見能力、斬新なアイデアを生み出す企画・発想力、多くのスタッフをまとめるコミュニケーション能力やリーダーシップが強く求められます。
メリット・やりがい
- 世の中に大きな影響を与えるナショナルクライアントの案件など、大規模なプロジェクトに企画の最上流から関われる。
- 多様なメディアを横断したダイナミックな仕事ができる。
- トップクラスのクリエイターたちと仕事ができる機会が多い。
デメリット・大変なこと
- 実際に手を動かすよりも、会議や資料作成、各所との調整業務に多くの時間を費やすことがある。
- 複数のプロジェクトが同時に進行するため、業務が多忙になりがち。
こんな人におすすめ!
- デザインの力で、ビジネスや社会の課題を根本から解決したい人。
- アイデアを考えたり、戦略を練ったりするのが好きな人。
- チームを率いて大きなプロジェクトを動かすことにやりがいを感じる人。
1-2. デザイン制作会社:クリエイティブの専門家集団

一言でいうとどんなところ?
デザイン制作に特化し、高い専門性とクオリティでクライアントの要望を形にする職人集団です。
ビジネスモデルと役割
デザイン制作会社は、広告代理店や事業会社などから依頼を受け、具体的なクリエイティブを制作することでお金を得ています。
Webサイト制作、グラフィックデザイン、アプリ開発、映像制作など、特定の分野に特化した会社が多いのが特徴です。「Webサイト制作ならA社」「ブランディングならB社」というように、それぞれの会社が持つ専門性が強みとなります。
デザイナーの役割と求められるスキル
制作会社のデザイナーは、まさにデザインのプレイヤーです。アートディレクターやWebディレクターの指示のもと、PhotoshopやIllustrator、Figmaといったツールを駆使して、実際に手を動かしビジュアルを作り上げていきます。
ここでは、デザインの基礎体力(タイポグラフィ、色彩、レイアウトなど)はもちろん、ツールの習熟度や表現の幅広さ、そして何よりクオリティの高いアウトプットをスピーディーに生み出す力が求められます。若手のうちは、まずこの制作会社で数多くの案件をこなし、デザイナーとしての基礎スキルを徹底的に磨くというキャリアパスも一般的です。
メリット・やりがい
- 様々な業界・業種のクライアントの案件に携われるため、幅広いデザイン経験を積める。
- デザインスキルをとことん追求し、専門性を高めることができる。
- 自分が作ったものが、具体的な形として世の中に出る喜びを頻繁に味わえる。
デメリット・大変なこと
- クライアントと代理店の間に立つため、急な仕様変更や修正依頼に対応する必要がある。
- 納期が厳しく、残業が多くなることもある。
こんな人におすすめ!
- とにかく手を動かして、ものづくりをするのが好きな人。
- 特定のデザイン分野のスペシャリストを目指したい人。
- 多様なデザインに触れ、デザイナーとしての引き出しを増やしたい人。
1-3. 事業会社(インハウス):自社サービスの成長を牽引

一言でいうとどんなところ?
自社で商品やサービスを開発・提供している会社で、その成長にデザインで貢献する組織です。
ビジネスモデルと役割
メーカー、IT企業、小売業など、業種は様々です。これらの企業に所属するデザイナーは「インハウスデザイナー」と呼ばれます。彼らのクライアントは社内の他部署(企画、マーケティング、エンジニアなど)であり、ミッションは自社サービスやプロダクトの価値を最大化することです。
デザイナーの役割と求められるスキル
インハウスデザイナーの仕事は多岐にわたります。自社WebサイトやアプリのUI/UXデザイン、サービスのプロモーションに使う広告バナーやLP(ランディングページ)の制作、商品のパッケージデザイン、さらにはブランド全体のイメージを統一するブランディング活動まで、事業に関わるあらゆるデザインを担当します。
ユーザーの反応を分析し、データに基づいてデザインを改善していくサイクルを回すことも多く、見た目の美しさだけでなく、ビジネスへの貢献意識やユーザー視点での課題解決能力(UI/UX思考)が強く求められます。企画段階からエンジニアやマーケターと密に連携するため、他職種への理解と円滑なコミュニケーション能力も不可欠です。
メリット・やりがい
- 一つのサービスに腰を据えて長く関わり、その成長を間近で見届けることができる。
- ユーザーからのフィードバックを直接得やすく、自分のデザインが事業に与える影響を実感できる。
- ワークライフバランスが比較的整っている企業が多い傾向にある。
デメリット・大変なこと
- 関わるデザインのテイストが、自社サービスのトーン&マナーに限定されやすい。
- 社内にデザイナーが少ない場合、相談相手がおらず孤独を感じたり、デザイン以外の雑務をこなさなければならないこともある。
こんな人におすすめ!
- 特定のサービスやプロダクトに愛着を持ち、その成長に貢献したい人。
- ビジネス視点やマーケティング視点を持ち、デザインの力で事業をグロースさせたい人。
- ユーザーの声を聞きながら、じっくりとデザインを改善していくプロセスが好きな人。
1-4. デザイン事務所・スタジオ:少数精鋭のクリエイター集団

一言でいうとどんなところ?
著名なデザイナーが主宰する、作家性の高いクリエイティブが特徴の少数精鋭チームです。
ビジネスモデルと役割
代表デザイナーの哲学や作風に共感したクライアントから、直接依頼を受けるケースがほとんどです。企業のブランディングやロゴデザイン、書籍の装丁(エディトリアルデザイン)、パッケージデザインなど、代表の得意分野に特化した質の高いクリエイティブを提供します。
デザイナーの役割と求められるスキル
若手デザイナーは、まず代表デザイナーのアシスタントとして、リサーチや資料作成、デザインの細かな修正作業などからキャリアをスタートします。代表の仕事ぶりを間近で見ながら、そのデザイン哲学や思考のプロセス、仕事への姿勢といった、スキル以前の「デザイナーとしての在り方」を学んでいくことになります。
求められるのは、優れたデザインセンスやスキルはもちろんのこと、代表の思想への深い共感と、それを吸収しようとする貪欲な学習意欲、そして厳しい指導にも耐えうる忍耐力です。
メリット・やりがい
- 憧れのデザイナーの元で、デザインの本質を深く学ぶことができる。
- 一つ一つの仕事に時間をかけ、徹底的にクオリティを追求できる。
- 将来独立を考えている人にとっては、最高の学びの場となる。
デメリット・大変なこと
- 採用人数が極端に少なく、入社するのは非常に狭き門。
- アシスタント期間は給与が低い傾向にあり、下積み期間が長くなる可能性がある。
- 教育制度が整っていない場合も多く、自ら学ぶ姿勢が強く求められる。
こんな人におすすめ!
- 心から尊敬し、師事したいと思える特定のデザイナーがいる人。
- 将来、自身の名前で仕事をするデザイナーとして独立したい人。
- デザインの表現や思想性をとことん突き詰めたい人。
2:何をつくる?得意分野で見る業務内容の違い

次に、具体的に「何をつくるのか」という業務内容の観点から、デザインの仕事を見ていきましょう。同じ制作会社や事業会社でも、得意とする領域は様々です。自分がどんなものづくりに関わりたいのかを考えることで、企業選びの解像度はさらに上がります。
ブランディングデザイン

企業の「らしさ」を定義し、ロゴマーク(CI/VI)やブランドカラー、フォントなどを通じて一貫したイメージを社会に伝えていく仕事です。企業の哲学やビジョンを可視化する、非常に上流で重要な役割を担います。
グラフィックデザイン

ポスター、チラシ、パンフレットといった紙媒体から、Webサイト上で使われるバナー広告まで、主に平面的(2D)なビジュアルコミュニケーション全般を指します。情報を整理し、魅力的かつ分かりやすく伝えるレイアウト能力やタイポグラフィの知識が求められます。
Webデザイン

企業のコーポレートサイトやブランドサイト、キャンペーン用の特設サイトなどのデザインを行います。見た目の美しさ(ビジュアルデザイン)はもちろん、ユーザーが迷わず目的の情報にたどり着けるか(情報設計)も考慮する必要があります。
UI/UXデザイン

主にWebサービスやスマートフォンアプリが対象です。UI(ユーザーインターフェース)は、ボタンやアイコンなど、ユーザーが直接触れる部分のデザインを指します。一方、UX(ユーザーエクスペリエンス)は、そのサービスを通じてユーザーが得る「体験」全体の設計を指し、「使いやすい」「楽しい」「また使いたい」と思わせる心地よさを追求します。ユーザー調査や分析といった、より上流の工程から関わることが多いのが特徴です。
パッケージデザイン

商品の顔となる箱やラベル、包装などをデザインします。店頭で消費者の目を引き、商品の魅力を瞬時に伝え、思わず手に取らせる力が求められます。素材や形状に関する知識も必要となる専門性の高い分野です。
エディトリアルデザイン

書籍や雑誌、カタログなど、主にページ数のある読み物のデザインを手がけます。文章を読ませ、内容を深く理解させるために、文字の組み方(組版)や写真・図版の配置を効果的にレイアウトする高度な技術とセンスが求められます。
3:自分にぴったりの企業を見つけるための3ステップ
業界の全体像が見えてきたら、いよいよ自分自身と向き合い、具体的な企業選びのアクションに移りましょう。闇雲にエントリーするのではなく、以下の3つのステップを踏むことで、納得のいく就職活動に繋がります。

STEP1:自己分析で「自分だけのコンパス」を手に入れる
企業選びは、自分を知ることから始まります。自分の現在地と目的地が分からなければ、どこへ向かえば良いか分かりません。まずは「何をやりたいのか(What)」と「どう働きたいのか(How)」を徹底的に言語化し、自分だけの企業選びの「軸(コンパス)」を定めましょう。
Will-Can-Mustのフレームワーク
- Will(やりたいこと): どんなデザインを作りたい? 誰を幸せにしたい? 将来どうなりたい?
- Can(できること): 得意なデザインは? 持っているスキルは?
- Must(やるべきこと): 会社や社会から求められている役割は? この3つの円が重なる部分こそ、あなたが最も力を発揮できる領域です。
過去の経験の棚卸し
これまでの人生で「夢中になったこと」「楽しいと感じた瞬間」「悔しかった経験」などを書き出してみましょう。例えば、「文化祭でチームをまとめてポスターを作った時が一番楽しかった」のであれば、あなたはチームで協力しながら何かを作り上げることにやりがいを感じるタイプかもしれません。それは広告代理店や事業会社での働き方に通じる可能性があります。
自己分析から企業タイプを考える
- 「多くの人と関わりながら、世の中に大きなインパクトを与えたい」→ 広告代理店
- 「とにかく手を動かして、美しいグラフィックやWebサイトを作りたい」→ デザイン制作会社
- 「一つのアプリを改善し続け、ユーザーの生活を便利にしたい」→ 事業会社(インハウス)
- 「尊敬する〇〇さんのような、思想性の高いデザインがしたい」→ デザイン事務所
STEP2:企業研究で地図の解像度を上げる
自己分析で見えてきた「軸」を元に、企業のWebサイトや制作実績をリサーチします。この時、ただ作品を眺めるだけでなく、その企業の「思想」や「文化」を読み解く視点が重要です。
公式サイトの深読み
- 制作実績: どんな業種のクライアントが多いか? デザインのトーン&マナーは? 自分の作りたいものと合っているか?
- 代表メッセージ/ビジョン: 会社が何を大切にしているのか、どこを目指しているのかを理解する。
- 社員インタビュー/ブログ: どんな人が、どんな想いで働いているのかを知る。会社の雰囲気を感じ取る上で非常に重要です。
SNSでの情報収集
企業の公式アカウント(特にX(旧Twitter)やnote)は、公式サイトよりも社員の素顔や日常の雰囲気が伝わりやすい情報源です。現場のデザイナーが個人で発信している場合もあり、リアルな働き方を知る手がかりになります。
説明会・イベント・インターンシップへの参加
オンラインの情報だけでは分からない「空気感」を肌で感じる絶好の機会です。採用担当者や現場のデザイナーに直接質問できるチャンスを逃さず、気になることは積極的に聞いてみましょう。「若手はどのような仕事から始めることが多いですか?」「デザインのクオリティは、どなたがどのように判断していますか?」など、具体的な質問を用意しておくと、より深い企業理解に繋がります。
STEP3:ポートフォリオで「未来の自分」をプレゼンする
ポートフォリオは、単なる「作品集」ではありません。それは、「私を採用すれば、貴社にこんな貢献ができます」とアピールするための、あなた自身を売り込む企画書です。STEP2で研究した企業が求める人物像を意識し、戦略的に作品を見せることが内定への鍵となります。
広告代理店/総合制作会社向けポートフォリオ
見せるべきは「課題解決能力」: なぜこのデザインにしたのか、その思考プロセスを必ず言語化しましょう。「クライアントの課題は〇〇で、ターゲットは△△だと分析し、それを解決するためにこのコンセプトを立て、このビジュアルに落とし込みました」というストーリーが重要です。
専門制作会社向けポートフォリオ
見せるべきは「圧倒的なクオリティと専門性」: 細部へのこだわりが伝わる作品を中心に構成します。タイポグラフィの美しさ、レイアウトの完成度、ツールの習熟度の高さなど、技術的な強みをアピールしましょう。
事業会社(インハウス)向けポートフォリオ
見せるべきは「ユーザー視点とビジネス貢献意欲」: 課題設定→仮説→デザイン→考察といった、サービス改善のプロセスが分かる作品を入れましょう。架空のアプリのリデザイン課題などで、「なぜこのUIが良いと考えたのか」「この改善でどんな効果が見込めるか」を論理的に説明できると評価が高まります。
デザイン事務所向けポートフォリオ
見せるべきは「独自の感性と世界観」: テクニック以上に、あなたの作家性やデザインに対する思想が問われます。一つ一つの作品に込めたコンセプトや想いを、自分の言葉で丁寧に語ることが大切です。
【Q&A】デザイナー就活 よくある質問
- 業種が違う企業を併願してもいい?
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問題ありません。ただし、自己分析が曖昧なまま手当たり次第に受けるのは避けましょう。「幅広い案件でスキルを磨きたいから制作会社、一つのサービスを育てたいから事業会社」というように、それぞれの業種を志望する理由を明確に説明できることが重要です。ポートフォリオも、志望する企業タイプに合わせて内容を少し調整すると、より熱意が伝わります。
- まだやりたいことが明確じゃない場合、どうやって企業を選べばいい?
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まずは様々な業界の案件に触れられる「デザイン制作会社」で経験を積むのがおすすめです。多くのプロジェクトをこなす中で、自分の興味や得意分野が徐々に明確になっていきます。そこで専門性を磨き、将来的に事業会社やフリーランスなど、次のキャリアへ進む道も開けます。
- 会社の規模(大手vsベンチャー)は、どう選ぶべき?
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それぞれにメリット・デメリットがあります。大手は教育制度が整っており、大規模な案件に携われる一方、業務が細分化されている傾向があります。ベンチャーは、若いうちから裁量権の大きい仕事を任されやすいですが、自ら学ぶ姿勢がより強く求められます。自分がどんな環境で成長したいかを考え、インターンシップなどで実際に雰囲気を確かめてみるのが良いでしょう。
まとめ
デザイン業界には、広告代理店、制作会社、事業会社、デザイン事務所といった多様な企業が存在し、それぞれでデザイナーの役割や働き方は大きく異なります。
自分にぴったりの企業を見つけるための最も重要なステップは、まず**「業界の全体像を正しく理解すること」、そして「自己分析を通して自分自身の価値観や働き方の軸を明確にすること」**です。
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